ACL:アデレードユナイテッド概観 [オーストラリア]
さて、最近の情報を見ていく前にまずは概観ということで。
Aリーグは8月開幕2月閉幕のリーグ、そしてAFCにオーストラリアが加盟したのが2006年からだが
ACL出場は07年から(Aリーグ発足は05-06シーズン)ということで、ACLに出場するクラブは
前年のチャンピオンとレギュラーシーズン1位ということになっています。すなわち08年ACLの
グループステージに出場したメルボルンヴィクトリーとアデレードユナイテッドは07-08シーズン
ではなく06-07シーズンの成績による出場というわけです。
今年インドネシアのクラブがACL出場権を失った事件からも覗えるように、ACL出場クラブをなるべく
早く確定させて年を越したいのがAFCの意向のようなので、これは今後も変わりそうにない予感が。
というわけでまず06-07シーズンのアデレードユナイテッドの成績を見てみると
レギュラーシーズンは以下のとおり。
06-07シーズン成績
順位 クラブ名 勝点 勝 分 負 得点 失点 得失点差 1 Melbourne Victory 45 14 3 4 41 20 21 2 Adelaide United 33 10 3 8 32 27 5 3 Newcastle Jets 30 8 6 7 32 30 2 4 Sydney FC 29 8 8 5 29 19 10 5 Queensland Roar 29 8 5 8 25 27 -2 6 Central Coast Mariners 24 6 6 9 22 26 -4 7 Perth Glory 20 5 5 11 24 30 -6 8 New Zealand Knights 19 5 4 12 13 39 -26
首位メルボルンが独走、2位~5位は団子状態だが勝ち数の多さで勝ち点を伸ばしたアデレードが
2位につけファイナルシリーズへ。1位2位の直接対決は第1戦アデレードのホームでは0-0とした
ものの第2戦ではメルボルンが4万7413人のホーム観衆の前で2-1と勝利しメルボルンが決勝へ。
敗れたアデレードユナイテッドは3位4位対決の勝者であるニューカッスルジェッツとの対戦を1-1の
後PK戦で制しますが、決勝戦で再びメルボルンが5万5436人のホーム観衆の前で6-0の大勝。
こうしてメルボルンヴィクトリーがレギュラーシーズン1位とAリーグチャンピオンを独占、どちらも
2位だったアデレードユナイテッドがもう1枠でACL出場となりました。
ちなみにアデレードはレギュラーシーズンでもメルボルン相手に1勝2敗、同じ相手に1年に4敗して
しかも最後は決勝の大舞台で大敗となると…アデレードサポの心中はいかばかりか。
そんな08ACL出場の2クラブでしたが、07-08シーズンでは両者振るわず
07-08シーズン成績
順位 クラブ名 勝点 勝 分 負 得点 失点 得失点差 1 Central Coast Mariners 34 10 4 7 30 25 5 2 Newcastle Jets 34 9 7 5 25 21 4 3 Sydney FC 32 8 8 5 28 24 4 4 Queensland Roar 31 8 7 6 25 21 4 5 Melbourne Victory 27 6 9 6 29 29 0 6 Adelaide United 26 6 8 7 31 29 2 7 Perth Glory 20 4 8 9 27 34 -7 8 Wellington Phoenix 20 5 5 11 25 37 -12
レギュラーシーズンは5位と6位でファイナルシリーズ出場すらならず。これが戦力均衡策の面白い
ところでもあり恐ろしいところでもあり、前年度独走のクラブが翌年はリーグの上半分にも入れない
有様。まあJも最後の1分まで首位だったクラブが翌年降格するなどカオス度では上回りますが…
この2シーズンを見る限り、国内リーグでは得点は上位をキープしていると言えなくもない程度の
さほど特徴のないデータとなっています。ACLグループリーグでのデータはまた後ほど。
Aリーグとはどんなリーグか(後編) [オーストラリア]
予想外に分量が多くなったので2回に分けましたが、今日はその後編。
とりあえず前編を箇条書きでまとめると
・Aリーグは8クラブのリーグで来シーズンが4年目
・選手年俸の総額が来シーズンは190万豪州ドル≒1億9000万円と制限(サラリーキャップ制度)
・1人だけサラリーキャップ制度の対象外となる選手を選べる(Marquee player)
・登録選手は最低20人最高23人で、少なくとも3人はU20。外国人選手は4人まで。
そして08-09シーズンからの新制度としてユースリーグの創設とJunior Marquee player制度の
創設があります。前者はオーストラリアにある7クラブでユースリーグを作り、各クラブは16-20歳の
ユース選手を10-12名アマチュア契約で登録できるという制度。ちなみに試合には4名まで
オーバーエイジ選手を出場させられるということで、サテライトとユースの中間のような感じか。
後者は各クラブ1人だけ、U23の選手の年俸のうち15万豪州ドル分はサラリーキャップ外に計算する
という制度です。
これまでオーストラリアのクラブは、リーグでの登録選手数の問題からACLでの登録選手枠30名を
埋めきれない状態でアジアの試合に臨んでいたわけですが、とりあえずこのユース制度によって
これからは30名きっちり登録してくるのではないかと思います。
フランチャイズ制は、NSL時代のクラブの多くが移民の出身国ごとに選手もサポもまとまっていた
ことの反省からで、現在各都市に1クラブのみになっています。もっともリーグ拡張の話の中で
メルボルンにもう1クラブという話もあるようなので今後は分かりませんが。
プレーオフ制度、正確にはファイナルシリーズはページプレイオフ方式で行われています。
レギュラーシーズン21節(総当り7試合×3)の成績1位~4位クラブが進出し
1位×2位┳━(勝者)┓
┗┓ ┣Aリーグチャンピオン
┣━━━┛
3位×4位━┛
このような形でトーナメントが行われ優勝クラブがAリーグチャンピオンに。なおACL出場権は
Aリーグチャンピオンとレギュラーシーズンの1位クラブの2つに与えられることになっています。
なおリーグカップ、協会杯などはなく、8月のレギュラーシーズン開幕前にプレシーズンカップが
7月に行われるのみ。それも4クラブ1回総当りのグループリーグと決勝戦という簡単なものです。
以上ざっとAリーグの制度を眺めてみましたが、アメリカンスポーツ風の興行重視の制度が
採られているというのが印象ですね。現に平均観客動員は12,100→12,900→14,600と順調な
伸びを示し、長期のTV放映契約も代表戦とセットで結ばれているようです。
とはいえ戦力均衡策とプレーオフ制度にも欠点はあるわけで…Jでやってほしいとは思いません。
その辺りはアデレードユナイテッドについてこれから書く際においおい触れようと思います。
さて、次からはいよいよアデレードユナイテッドの紹介に移ります。
その前に代表の感想や北京観戦記など入るかもしれませんが…
ここまで読んでくださったかたはこちらもよろしく→
Aリーグとはどんなリーグか(前編) [オーストラリア]
さて、いよいよ準々決勝の相手アデレードユナイテッドの情報を調べて行こうと思うわけですが
サラリーキャップやその対象外となる選手、あるいは登録選手数、外国人選手の数などと
リーグ全体のレギュレーションをまず把握しないとよく分からない部分が多かったので、まずは
Aリーグ自体についてごく簡単に整理してみて、それからクラブに移りたいと思います。
公式サイトはこちら→ http://www.a-league.com.au/
Aリーグは2005年に創設され、来たる08-09シーズンが4シーズン目という新しいリーグです。
それ以前のNSLは1977年に始まりましたが2004年に終了。Aリーグの現8クラブのうち
NSL時代にもあったクラブは僅か3クラブというように、その歴史には若干の断絶が見られます。
現8クラブはオーストラリア各都市に7クラブ、ニュージーランドに1クラブ。リーグ拡張も予定
されているようですが、とりあえず09-10シーズン以降に持ち越しのようです。
特徴としてはクラブ財政と戦力均衡を考慮してのサラリーキャップ制度と都市ごとのフランチャイズ
制、そしてプレーオフ制度というアメリカンスポーツ風の制度が採られていることでしょうか。
サラリーキャップ制度は選手年俸の総額を一定額以下に限定するという制度。当初は1クラブ
150万豪州ドルでしたが徐々に引き上げられ07-08シーズンは180万、08-09シーズンは190万
豪州ドル≒1億9000万円になります。登録選手数は最低20人、最高23人なので単純計算だと
平均年俸1000万円弱ということになりますか。
それでは集客力のあるスター選手の獲得や海外で活躍するオーストラリア人選手の獲得が
出来ないということで、各クラブ1人だけMarquee playerというサラリーキャップ外の選手を獲得
することができます。つまりその選手にいくら年俸払っても190万豪州ドルの制限には加算されない
ということです。現在アデレード、メルボルン、シドニー、クイーンズランドの4クラブがこの
Marquee player制度を利用しているようです。
登録選手については他にも最低20人、最高23人の登録選手のうち少なくとも3人はU20の選手で
なければならないという制約と、外国人選手は4人までという制約があります。
書き出してみたらやたらと長くなったので、続きはまた明日ということで。
ここまで読んでくださったかたはこちらもよろしく→